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ニューヨークのジャパンソサエティでの公演はもう3回目になる。
最初は、ジョン・ゾーンのレーベルTZADIKののイベントNEW VOICE FROM JAPAN(2006年)で
EYE,灰野敬二、巻上公一の3人に、ジョン・ゾーン、ジム・オルーク、マイク・パットン、イクエ・モリ
という豪華な布陣。(この時は水ぼうそうになってしまい、みんなに迷惑をかけてしまった)
2008年には、イクエさんのニューヨーク活動30年を記念したイクエ特集に参加。
ジーナ・パーキンス、シロ・バプティスタと共演。イクエさんの黄表紙シリーズでの口上などを初演。
そして、やっと自分のバンド ヒカシュー とともにニューヨークに来ることができた。
度重なるジャパンソサエティの塩谷さんとのミーティングで、
ヒカシューをどう紹介するかを熟考した。
いろんなプランがあった中、可愛らしい篠原ともえさんを加えるという方向に落ち着いた。
篠原さんの音楽活動を支えているスティーヴ・エトウにも同行してもらうことも依頼した。
最近のヒカシューは実にフレキシブルになっている。
歌、即興、その緩急を自在に行える。自分はさておき、すごいメンバーだ。
この中に篠原さんを置くわけにはいかないので、
篠原ともえのステージとヒカシューのステージは完全に分けることにした。
そして、ぼくは彼女のステージには出ないでいようと考えた。
ヒカシューのメンバーは、彼女のステージすべてに参加し、ミュージシャンらしさを演じていた。
ライブには、ジョン・ゾーン、イクエさん、ジーナ、シェイナや、エンジニアのマーク。
パフォーマーの中馬さんなどニューヨークの友人たちが多数観に来てくれた。
最初のスティーヴのソロに佐藤正治も加えたら、ふたりはパーカッション叩くのそっちのけで
ヴォイスパフォーマンスをはじめてしまった。
構成がわかってないんだなと思ったけど、これはぼくの説明ミスだ。
はじめに打楽器によるプロローグ、可愛らしい篠原ともえ、そしてヴォイスはヒカシューまで
とっておかなければと思っていたのだが、仕方ない。
篠原ともえのステージは可愛らしさ120パーセント。歌も衣裳も手作りなともえワールドが出現した。
ヒカシューは、最初インプロヴィゼーションからスタートした。暗く深く。
やはり311の大震災とその後の福島の状況は深刻なものがあり、表現者はそれを乗り越える力を自然に創出させる。
「キメラ」という歌は、歌詞を英語にして曲の中でナレーションした。

経済はあらゆる細胞を実験台にする
警告は誰もが生活を理由に無視をした



吉祥寺のGOKでリハをして、苗場に前日入りして、ずぶ濡れで食べたカレー。
スタッフの手違いで10分早くはじまったステージ。
ヒカシューのTシャツとぼくはヨーガンレールにフジロック用に提供していただいたTシャツ。
フジロックにパタフィジックな音楽を持ち込めたかな、ヒカシュー。
やっぱりリハした曲はやらなかった。
なんていいかげんヒカシュー。

いろんな友人たちにも会えたのはうれしい。
意外にいっぱい集まってくれて感謝します。


撮影 池田“Soulgraph”まさあき
声による即興。ひとり20分。
青山円形劇場での公演は、年度収めの時期もあり、集客には苦心した。
永六輔さんの土曜ワイドに出演したり、FM東京にもだしていただいた。
初日は、朝日新聞も情報を載せてくれた。
そのおかげで、なんとか席はうまり、プロデューサーとしてはほっとした。
しかし
プロデューサーを兼任していると、
自分が出ることはすっかり忘れているから困ったものだ。
だけど声だけっていうのは、ホールに限ると思う。
ライブハウスじゃないな。
吉田アミ、蜂谷真紀、灰野敬二、さがゆき、天鼓
みんな素晴らしかった。
ありがとう。

今年最初のコンサートは、Inga Juuso (インガ・ユーソ)& Harald Skullerud (ハラール・スクレルー)を
湯河原 檜チャリティーコンサートホールに招いてヨイクという独特の歌のコンサート。
当初はSKAIDIというインガ・ユーソさんとコントラバスのスタイナー・ラクネスさんとのDUOの予定だった。
ところがスタイナーさんの双子の子供が病気だということで、急きょハラール・スクレルーさんが来ることになった。

オープニングは、
ぼくと牧野持侑さんのクリスタルボールのDUO。
ぼくはテルミンで静かにクリスタルの音色に寄り添ってみた。
檜ホールの深い残響で、音が溶け合い、海の底にいるような感覚。
続いて インガ・ユーソさんの喉を転がしながらの自然や動物の歌は、
ハラール・スクレルーの素晴らしいサポートで太古の記憶を運んだ。

アンコールはこの4人で即興的に音を紡いだ。
溶け合うような至福の時間。


こんなに楽しい日はなかった。
ヒカシューとかつてのヒカシューメンバー
そして近田春夫に「エレクトリックラブストーリー」を歌ってもらった。
ヒカシュー30周年記念の素敵な締めくくり。

写真は近田さんがうたっているところ。
撮ってくれたのは、ヒカシューにはじめてファンレターをくれた野々村くん。
それも近田さんの番組に送ったはがきだった。


写真 野々村文宏
ヒカシュー渋谷クアトロは、
ジューシィ・ハーフのとても素敵なステージではじまり、
企画して本当によかった。
いきいきとしたものがよみがえり、弾けていた。

そもそものはじまりは、
イリアがアマチュアの合唱団にいて、
高橋悠治のパーリ語の合唱曲のこことで
連絡してきたことだ。
どうも曲を短くしたいということらしいのだが、
それで連絡先を教えてあげたりした。

そこで最近ジューシィ・ハーフというのをやっているという
ニュースを耳にして、
ぜひクアトロのヒカシュー公演に出てほしいとお願いしたのだ。
すぐに快諾はしてもらえなかったが、
悩んだ末のいい返事をもらえた。

結果
ジューシィ・ハーフの魅力的なステージが目の前で実現した。
イリアは、声もギターも出で立ちも、デビュー時のものをすべて持っていた。
トシは、ステージ上で自分が参加しているヒカシューの1stと2ndを宣伝してくれたり、
いつものいいやつぶりを発揮していた。
また
ベースのジェフ氏 ギターのAkishiro氏という好サポートを得て
瑞々しさが際立っていた。

ヒカシューは、三田超人のへんてこダンスからはじまった。
それはステージに登場する30秒くらい前に決まったが
すぐにやってくれるフリーマンは偉い。
途中息切れしてこっちにでてくれと懇願しているフリーマンが見えたので
さりげなく出て行きステージをはじめた。
会場はジューシィ・ハーフが作ってくれた素敵なオーラが満ちあふれていて
会場に一体感があったので、とてもやりやすかった。
応援してくれる人が一人でも多いと、うれしいのが人情である。

この日は
ヒカシューとジューシィを世に出した近田春夫氏も招待した。
ちょうど近田さんがロングインタビューを決行中の裕也さんも
なぜかかけつけてくれた。

アンコールも3回。
楽屋に裕也さんが来て、なにかただならぬオーラをだしていた。
裕也さんは当日券を買って入ってくれたらしい。

裕也さんは
「ヒカシューはやっぱフランク・ザッパ(マザーズ)だな。寺山とも共通のものを感じるよ」
30年前にも言われたことを繰り返してくれた。
これもやけにうれしかった。

12月には近田さんと相対性理論にゲストに来てもらうことにした。

これシリーズ的に続くと面白いなぁ。
ジューシィにもまた来てもらいたいし。

たくさんのすばらしい友だちも来てくれてうれしい一夜だった。


トゥバクィズィ9年ぶりの来日。
彼女たちの上達ぶりに感心した。
9年前は、不安でアンドレイやナデージダ・クーラルをゲストにしたことを思い出す。
しかし、いまもうそんな不安はまったくないすばらしいステージができるグループに発展した。
東京公演と名古屋の入りが悪くて赤字になってしまったのが実に痛いが
今後につながるいいステップになったと思う。


その彼女たちの公演が続いてる中
ヒカシューのツアーがはじった。
今年は、昨年よりさらに濃い出演者で、濃密な世界が展開していた。
吉増剛造、大友良英、巻上公一

撮影 手塚愛子

ヒカシューに梅津和時!!

(これからのんびり書きますね。)




















撮影 土方えり

(写真小熊栄)

湯河原現代音楽フェスティバルvol.1当日。
檜チャリティコンサートホールにたくさんの人。
地元の協力を得ることが出来て、当日は熱気があった。
出演は、ピアニストの高橋悠治、ヴァイオリンの鈴木理恵子
シルヴィー・コルバジェ、モリイクエ、巻上公一の5人。
中国の高平は残念ながらこれなかった。
おかげといってはなんだが、シンプルな構成になったのはよかった。
司会は、作家の田口ランディ。
田口さんのおかげで、いろんなお客さんを動員することが出来たが、
耳慣れない音楽であろうお客さんが増えたのが心配ではあった。
このへんはいつも矛盾した気分になる。なにしろ万人向けの音楽ではない。
しかしたくさんの人にきいて欲しい。
81歳の女性が、「素晴らしい」と感動する傍らで、
癒しの音楽しか耳に馴染まない人もいる。
「わかる」とか「わからない」にしかこだわっていない人もいる。
もちろん寝てしまった人もいる。笑い続けた人もいる。
そのさまざまな観客を前にして、
今日の演奏者は、本当に巧みな名人たちであるのは、夢のようなことだ。

曲目は、
高橋悠治氏にぼくがリクエストした武満徹の「妖精の距離」。
そこから出発して、
「七つのバラがやぶにさく」「悲歌」
「パランセ」「光州」
アントニオ・カルロス・ジョビンまで
常識を覆す強いメッセージを持った演奏に息を飲んだ人も多いはず。

シルヴィーのソロピアノもいつになく素晴らしいものだった。
内部奏法をこんなに華麗にする人を他に知らない。

アグラダルマは、白い蓮のための即興曲と題してインプロヴィゼーションを3つ。
北海道、関東、京都を回ってきての最終日の演奏だ。
今日は、シルヴィーがセンターに位置した。
モリイクエさんの、独特のエレクトロニクスの世界は唯一無比。
なにしろエレクトロニカの本当の先駆者である。

続いて、全員の即興をした。
悠治さんの奇襲のようなクラスター。

いずれにしろ湯河原で現代音楽のフェスティバルができたのは
本当に奇跡のようなことだった。

写真小熊栄)


昨晩のピットイン。
2年ぶりに来日したジョン・ゾーンの公演とあって、200枚のチケットは早々に完売。
1セット目は、ジョン・ゾーンに、大友良英、ジム・オルーク、巻上公一の4人によるインプロ。
2セット目は、ジョン・ゾーン プロンプターによるコブラ。
メンバーは、
向島ゆり子(Violin) 四家卯大(Cello) 佐藤芳明(Accordion)
伊澤知恵(Piano)鳥越啓介(Bass) 佐藤えりか(Bass)
神田佳子(Percussion)ぴかちゅうりっぷ(Drums)
植村昌弘 (Drums)大友良英 (Guitar)ジム・オルーク(Guitar)
巻上公一(Voice,オーガナイズ)

すばらしく豪華な時間を過ごすことが出来た。
当初は、コブラをやるつもりはなかったのだけど、
ピットインの鈴木さんのつよい希望で急遽することになって、
人選にはかなり苦労した。(なにしろ時間がなかった)
それでもジョンも大満足できるレペルの演奏になっていて
ほっと一安心した。

この成果のおかげで、来年はもう少し発展したことができそうになってきた。

だいたいいまやヨーロッパなどでは、
ジョン・ゾーンの大きなフェスティバルが数多く組まれているのに
日本のイベンターのふがいなさといったら、なんなのだろうかと思う。
エレクトリックマサダやムーンチャルドやストリングスや
人気のプログラムが目白押しである。
日本では、ピットインだけが本当に誠意ある対応しているから
信用を勝ち取っているのだろう。

さて
昨晩のいい気分をかって
今日は目黒川をさくら散歩をした。

P.S.
当日は混雑しましたが、ご協力ありがとうございました。