2013年5月アーカイブ

講師 清水一登
即興音楽ワークショップ「探求と熟考」第4回

いよいよ初ライブが近づいたということで、第4回のワークショップでは当初の予定を変更し、その準備に専念することになった。


初めての公開演奏に向けて

最初に断っておくと、前回のワークショップではもともと微分音の説明をするつもりだったんですが、とりやめになりました。まとまった話が必要になるようなテーマなので、今はライブに焦点を合わせた方がいいだろうという判断で。いずれ、またの機会に取り上げるつもりです。

それで、6月のライブでは、なんせ練習ではない即興演奏に初めて取り組むわけですから、やっぱりその時に役立つものをやるべきだろうと。そんなわけで、前回のワークショップは、これまでやったことを中心に、みんなで一緒に遊べるような素材が中心になりました。

次回のワークショップはライブの直前ということになりますけど、同じように本番に向けて、その準備をじっくりやろうと思っています。


試みの面白さ

ライブのことなんですけど、今のところはまったくどうなるか分からない状態ですね。そもそも、このワークショップ自体が、まったく新しい試みで、模索しているところですから。

それでも、その模索している段階で出ている音が、すでに音楽として十分に楽しめるものにはなっているんです。そういう意味では面白くなるんじゃないかな。

それに付け加えるかたちで、みんなが知っている素材を元に、いろいろ工夫することで、もっと自由なものにもっていけたらいいなと思っています。


新人の参加も歓迎

前回も新しい人がまた入ってくれたんです。課題にはなかなか苦労されていたようですが、これまでみんながやってきた音を知らないわけですから、戸惑うところはあるかもしれません。

ただ、このワークショップでやっていることを面白く思えるかどうかっていうのは、いわゆる音楽経験とはあまり関係がないと思っています。そもそも、普通の意味での曲を練習しているわけでもありませんし。

今からでも新しい人は大歓迎ですから、興味があるという人はぜひ来てほしいですね。次回のワークショップはライブの直前になりますけど、新しく加わってくれた人に、ライブへの参加を強制するようなこともありませんので、参加でも見学でも、気軽に顔を出してもらえたらと思います。


次回ワークショップは6月1日(土)、同日夜にはライブも開催


『探求と熟考』即興演奏を学ぶ
ナビゲーター 清水一登、巻上公一
会場 渋谷・公園通りクラシックス
参加費 3,000円 学生 1,000円(要学生証) 観覧 2,000円
開催日 6月1日
詳しくはこちら

『探究と熟考』第1回ライブ
会場 渋谷・公園通りクラシックス
開催日 6月1日 開場18:30 開演19:00
http://k-classics.net/schedule/detail.php?id=3927

講師 巻上公一
即興音楽ワークショップ「探求と熟考」第4回

いよいよ近づいてきた初ライブの準備に入った第4回では、それまでの課題に改めて向き合う作業が中心になった。


どうなるかは当日次第

ライブのことは、まだほとんど何も決まっていないんです。本番の前にワークショップがあるので、それを終えてから、どうするか考える感じですね。

前回のワークショップでも、新しい曲をやったりしたので、それを元にしてもいいし。あるいはデレク・ベイリーのカンパニイみたいに、メンバーをその場で決めるというスタイルでやってもいいし。

即興演奏に習熟している人もいますから、そういう人に、まったく経験のない人を組み合わせたりとか。いろいろやり方は考えられます。

方針としては、見ていて面白いものにしたいですね。リズムを中心にしたり、ワークショップの要素を入れたり。いろんなことを交えつつ、みんなに見てもらうためのものにするつもりです。


ミスに鷹揚になる

前回のワークショップで勉強になったのは、きっちり考えすぎないのが大切だということです。ぜんぜんうまくいかなくても、間違えてもいい。うまくやらないといけないって思うと、ますますそうなっちゃう。むしろ、うまくいかなくても、これも音楽かなって思えるくらいの気持ちで。それが即興にもつながっていきますから。

ああ失敗しちゃった、っていう感じじゃなくて、むしろ失敗が楽しいってくらいの方がいい。なかなかそうもいかないですけどね。やっぱり、みんな真面目だから。そこを変えていく必要がありますよ。

リズムなんか間違っても、ぜんぜん問題ない。時には立ち止まって考えることも必要ですけど、あまりミスを深刻に受け止めたりすることはありません。どうしてもうまくいかないときは、こちらからも言いますけど、なるべく緩やかな感じでやりたいと思ってます。


ライブは一種のショーケース

今回のライブでは、普段のワークショップがどういう感じなのか、紹介するような要素も入れたいと思っています。

ワークショップでやっていると、本当に勉強になるんですよ。自分でやるだけじゃなく、いろんな人のも見ることができますから。

今から参加していただくのも、何の問題もありませんから、即興に関心があるっていう人にはぜひ見に来てもらいたいですね。


次回ワークショップは6月1日(土)、同日夜にはライブも開催


『探求と熟考』即興演奏を学ぶ
ナビゲーター 清水一登、巻上公一
会場 渋谷・公園通りクラシックス
参加費 3,000円 学生 1,000円(要学生証) 観覧 2,000円
開催日 6月1日
詳しくはこちら

『探究と熟考』第1回ライブ
会場 渋谷・公園通りクラシックス
開催日 6月1日 開場18:30 開演19:00
http://k-classics.net/schedule/detail.php?id=3927

講師 坂出雅海
即興音楽ワークショップ「探求と熟考」第3回

第1回からの参加者であり、第3回の講師を務めた坂出雅海に聞く、即興音楽ワークショップにおけるコミュニケーションについて。


子供と即興音楽

自分でも即興音楽のワークショップを開いてるんですよ。地域の子供を相手にしたものなんだけど、それを毎年夏にやってる。夏休み中の学校を使って、自由教室を開こうっていう企画の一環で。

楽器も持ち込み自由にしてあるんだけど、やっぱり最初は声から始めてる。楽器を持つと、また違う感覚が入ってきちゃうからね。うまく弾かないといけない、っていうような。

だから全体的に見ると、楽器をやってる子の方が窮屈な感じはあるかな。それは仕方のないところもある。基礎とかやっちゃいけないこととか教わってるから。ただ、みんな楽器は大好きなんだよ。音楽室でやってるから楽器もいろいろあって、そういうものに触りたがる。普段の授業ではなかなか自由に使ったりできないしね。

内容も自分なりに考えて、まずは緊張感をほぐすために、にらめっことかやったり。動物の絵を出して、音で表現してみよう、とか。みんなで目を閉じて、海をイメージしてみよう、海の音を出してみようってやった時はうまくいったね。

そっちに比べると、このワークショップはそりゃ楽だよね。なんせ参加者が大人だから(笑い)

ただ、こないだはちょっと真面目にやり過ぎたと思っていて、自分では反省してるんだよね。あんまり細かいところにこだわっても仕方がないんだ。大切なのは、最終的に演奏をお互いが楽しめるかどうかってことだから。


伝え方の違い

前にどこかで聞いたんだけど、こういう話があってね。戦後のシベリア抑留の話。収容所には日本人だけじゃなくて、ドイツ人もいて、そこに本国の新聞とかが届く。すると、ドイツ人は、誰かがニュースを読み上げて、その周りに大ぜいが集まって故郷を懐かしんで涙を流す。一方で、日本人の場合は、新聞をみんなが回し読みして涙を流す。結局どちらも涙を流すんだけど。

これは言葉の問題で、日本語だとイントネーションはまったく同じでも、実際にはぜんぜん意味が違う言葉とかあるから。前後の関係から判断はつくけど、それ自体だと聞いただけではよく分からなかったりして。これがたとえばドイツ語だと、動作に関する語彙がとにかく豊富だから、言葉だけで説明できちゃう場合も多い。

そういう違いって、このワークショップにもあるかもしれない。ただその場でやるだけでいいって人もいれば、テキストをじっくり読みたいっていう人もいるだろうし。

だから、このワークショップでも、テキストの内容を伝えるうえで、いろんなやり方を試してみたらどうかって話を聞いて、なるほどなって思ったね。


これからの形が見えてきた

今回は講師をやらせてもらったわけだけど、やっぱり、ただ参加しているだけなのとは、ぜんぜん違った。進める側になったのは、とても勉強になった。よく言われることだけど、教える立場に回るのが一番勉強になる。要するに、自分がちゃんと理解しているかどうかが分かるんだ。

ライブも近くなってきたけど、きっと面白くなると思うよ。ワークショップ自体はもっと先まで進むだろうけど、これまでやってきたことだけでも、どういうルールになっているのかわからない人が聴いたら出て来る音は十分面白いんじゃないかな。

それに、今回から楽器を使うようになって、これまでのことがどう音楽になっていくのか、少しずつ見えてきた感じもある。この先どうなるのか、ぼく自身も楽しみにしています。


次回ワークショップは6月1日(土)


『探求と熟考』即興演奏を学ぶ
ナビゲーター 清水一登、巻上公一
会場 渋谷・公園通りクラシックス
参加費 3,000円 学生 1,000円(要学生証) 観覧 2,000円
開催日 6月1日
詳しくはこちら
6月1日夜は
『探求と熟考』のライブを予定しています。

巻上公一
ヒカシュー初のカナダ・ツアーに向けて

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ヒカシューにとっては初めてとなるカナダ公演の直前インタビュー。


今回のツアーは、ミシェルさんっていう、ヴィクトリアヴィルのジャズ・フェスティバルのディレクターが声をかけてくれたんです。彼に『うらごえ』を送ってあったんだけど、すごく気に入って、ツアーを組もうかって言ってくれた。

ヴィクトリアヴィルのフェスティバルは、ぼくも何度か出ているんですけど、本当に素晴らしい。とても面白いプログラムで、ああいうところで気に入られたらいいなって思ってます。

それから楽しみにしているのが、ジョン・ゾーンの60歳記念のプログラムと、オタワで一緒にやることになっている、クボタ・ノブオさん。日系カナダ人の方だと思うんですけど、クボタさんの音声詩のパフォーマンスはぜひ見てみたいですね。80歳というのが楽しいです。

ジョンキエールもけっこう大がかりなフェスティバルだし、トロントはなかなか決まらなかったんですけど、最終的には演奏できることになりました。

ただ時間の余裕があんまりなくて、観光はナイアガラの滝を見るだけになりそうです。今回はトロントでメンバーと合流するんですけど、その初日くらいですね、観光できるのは。

演奏のほかにも、オタワでは、ワークショップをいろいろ頼まれているんです。口琴やヴォイス、テルミンを教えてほしいって、ワークショップだらけになっちゃって。短い時間なのに、そんなにたくさん出来るのかっていうくらいなんですよ。

ヒカシューの新作も、とりあえず4曲出来てて、他にも3、4曲、歌詞を書きました。カナダにいる間にレコーディングのリハーサルもやろうと思っています。

カナダでも、きっとヒカシューは気に入ってもらえると思います。向こうのオーディエンスに会えるのを楽しみにしています。


カナダ ツアーの詳細はこちら

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