即興音楽ワークショップ「探求と熟考」第3回 坂出雅海に訊く
講師 坂出雅海
即興音楽ワークショップ「探求と熟考」第3回
第1回からの参加者であり、第3回の講師を務めた坂出雅海に聞く、即興音楽ワークショップにおけるコミュニケーションについて。
子供と即興音楽
自分でも即興音楽のワークショップを開いてるんですよ。地域の子供を相手にしたものなんだけど、それを毎年夏にやってる。夏休み中の学校を使って、自由教室を開こうっていう企画の一環で。
楽器も持ち込み自由にしてあるんだけど、やっぱり最初は声から始めてる。楽器を持つと、また違う感覚が入ってきちゃうからね。うまく弾かないといけない、っていうような。
だから全体的に見ると、楽器をやってる子の方が窮屈な感じはあるかな。それは仕方のないところもある。基礎とかやっちゃいけないこととか教わってるから。ただ、みんな楽器は大好きなんだよ。音楽室でやってるから楽器もいろいろあって、そういうものに触りたがる。普段の授業ではなかなか自由に使ったりできないしね。
内容も自分なりに考えて、まずは緊張感をほぐすために、にらめっことかやったり。動物の絵を出して、音で表現してみよう、とか。みんなで目を閉じて、海をイメージしてみよう、海の音を出してみようってやった時はうまくいったね。
そっちに比べると、このワークショップはそりゃ楽だよね。なんせ参加者が大人だから(笑い)
ただ、こないだはちょっと真面目にやり過ぎたと思っていて、自分では反省してるんだよね。あんまり細かいところにこだわっても仕方がないんだ。大切なのは、最終的に演奏をお互いが楽しめるかどうかってことだから。
伝え方の違い
前にどこかで聞いたんだけど、こういう話があってね。戦後のシベリア抑留の話。収容所には日本人だけじゃなくて、ドイツ人もいて、そこに本国の新聞とかが届く。すると、ドイツ人は、誰かがニュースを読み上げて、その周りに大ぜいが集まって故郷を懐かしんで涙を流す。一方で、日本人の場合は、新聞をみんなが回し読みして涙を流す。結局どちらも涙を流すんだけど。
これは言葉の問題で、日本語だとイントネーションはまったく同じでも、実際にはぜんぜん意味が違う言葉とかあるから。前後の関係から判断はつくけど、それ自体だと聞いただけではよく分からなかったりして。これがたとえばドイツ語だと、動作に関する語彙がとにかく豊富だから、言葉だけで説明できちゃう場合も多い。
そういう違いって、このワークショップにもあるかもしれない。ただその場でやるだけでいいって人もいれば、テキストをじっくり読みたいっていう人もいるだろうし。
だから、このワークショップでも、テキストの内容を伝えるうえで、いろんなやり方を試してみたらどうかって話を聞いて、なるほどなって思ったね。
これからの形が見えてきた
今回は講師をやらせてもらったわけだけど、やっぱり、ただ参加しているだけなのとは、ぜんぜん違った。進める側になったのは、とても勉強になった。よく言われることだけど、教える立場に回るのが一番勉強になる。要するに、自分がちゃんと理解しているかどうかが分かるんだ。
ライブも近くなってきたけど、きっと面白くなると思うよ。ワークショップ自体はもっと先まで進むだろうけど、これまでやってきたことだけでも、どういうルールになっているのかわからない人が聴いたら出て来る音は十分面白いんじゃないかな。
それに、今回から楽器を使うようになって、これまでのことがどう音楽になっていくのか、少しずつ見えてきた感じもある。この先どうなるのか、ぼく自身も楽しみにしています。
次回ワークショップは6月1日(土)
『探求と熟考』即興演奏を学ぶ
ナビゲーター 清水一登、巻上公一
会場 渋谷・公園通りクラシックス
参加費 3,000円 学生 1,000円(要学生証) 観覧 2,000円
開催日 6月1日
詳しくはこちら
6月1日夜は
『探求と熟考』のライブを予定しています。
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