即興音楽ワークショップ「探求と熟考」第3回
講師 清水一登
即興音楽ワークショップ「探求と熟考」第3回
6月のライブに向けてペースアップに入った第3回では、これまでの声と身振りに加えて、いよいよ楽器を使っての合奏が始まった。
楽器を活用する
今回はわりと進んだと思います。前回の復習から始めて、前に飛ばしていた曲とかもやったし、「フラワー」っていう、初めての曲らしい曲があるんですけど、坂出さんに進行を助けてもらいつつ、そこまで進めることができました。
今回は自分でも楽器を持ってきたんです。ボンゴと木琴なんですけど。それから、水谷浩章さんがチューンド・パイプを何本か持ってきてくれて、とても助かりました。同じような音量、同じような音色で、音程だけが違う楽器をペアで使うというやり方は、分かりやすくて良かったですね。
前回もやった4人組の曲だと、同じ楽器をペアで使った場合、合計で8つの音程による組み合わせになりますから、うまくいった時の感じがずっと分かりやすくなる。即興演奏だと最終的にどういう音が出るかってことは考えたりしませんけど、リズムの技術的なことを練習する場面では、やっぱりそれを想像できた方がいいですから。
それと、ワークショップの間に出ている音が、どんどん面白くなっていますね。確実にそうなってきてるので、これからますます期待できると思います。
音程をめぐる課題
次回はいよいよ音程の話に入りますが、なにしろ最初に微分音が出てくるので、それを皆さんに説明するには、また別の工夫が必要だと思っています。まずは微分音を実際に聞いてもらう必要がありますけど、たとえば、ピアノでは出せない音ですから。
サックスとかトランペットだと微分音は出せますけど、それはそれでまた別の問題があるんです。楽器の味というか、陰影がついてまわるから。そこが面白いところなんだけど、音程そのものに注意を絞ろうとすると、どうしてもそれが邪魔になってしまう。
具体的にどうするかっていうことでは、もう考えてあります。そもそも、このワークショップをやる前から、微分音については自分なりに長い間やってきているので。簡単で、すぐ理解してもらえるような方法を使うつもりです。
ノン・イディオマティックな即興に向けて
ただ、本の主旨としては、たとえば微分音について厳密に理解するとか、そういうことが重要ではないんです。
どうして微分音みたいな、普通の楽器じゃ出せないような音から始めるのか、わたしも不思議だったんですけど、ジョン・スティーブンスがそうしたのは、これまでの伝統文化と関係のあるイディオムを避けたいからじゃないかと思っています。
そもそも、音の高低には本来、段階はないわけです。だから、微分音から始めても、まったく矛盾しない。むしろ、西洋音階にあるような、音を区切った形で始めるよりも、ずっと理にかなっています。
リズムの説明でいちばん最初に出てくる、ふたりで会話しながら歩くっていう話も同じですけど、微分音から始めるっていう、その発想の根源は、できるだけ条件のないところから音楽を作るっていうことを彼は心がけていたからじゃないかな。
それから、音を聞く態度として、ジャッジを下さないということ。これが即興演奏にはとても重要なんです。
それにしても、あの本を読んで、自分でも訳したりしているので、分かった気になっていたんだけど、実際にやってみると理解の度合いがまったく違う。わたし自身、とても勉強になっています。それで、本にもそう書いてあるんですけど、ただ読むだけではダメで、自分でやってみないと意味がない。この違いはもう説明できないので、ぜひそうしてほしいですね。ますます、音の世界が広がると思います。
次回ワークショップは4月27日(土)
『探求と熟考』即興演奏を学ぶ
ナビゲーター 清水一登、巻上公一
会場 渋谷・公園通りクラシックス
参加費 3,000円 学生 1,000円(要学生証) 観覧 2,000円
開催日 4月27日 6月1日
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