DOMフェスティバル


ねぇニック、方向はどっち?

17日から3日間
江古田Buddyで行われたDOMフェスティバル。
DOMは、モスクワの先鋭的音楽の中心地。
そのすべてをプロデュースしていた
ニック・ドミトリーエフが急死して1年。
梅津和時氏、副島輝人氏が呼びかけ人となって
今回のフェスティバルが実現した。
モスクワからは奥さんのリューダさんやDOMのスタッフ
そして、ウラジーミル・ヴォルコフ、タチアーナ・グリデンカ
ウラジーミル・マルティノフが参加。
まず
マルティノフのピアノソロからはじまった。
追悼のために作曲されたその曲は、
驚くほど強いタッチの演奏と長さを持っていた。
ぽっかりとあいた空虚に毅然と立ち向かうという
テーマが見えた。
韓国の朴在千と美研のDUO。
美研がマルティノフのモチーフをコピーして
はじめたのはどういう意図だったのか。
少し醒めた気分になったのはいなめない。
朴さんのパーカッションがすきまをうめてゆく。
そしてハイスピードな人間国宝の演奏。に続いた。
K.K.NULLこと岸野くんは、ちょうどニックに呼ばれて
行った先で死に出会って、そのことを話してくれた。
ニックの笑顔が思い出されて、涙した。
演奏は悲しみを吹き飛ばすかのように
カオスパッド2つにマイクをつなげて
エイリアンと戦う格闘家
あるいは
電気焼きそばをつくる親父のようでもあった。
(演奏が常に下向きのせいで・・)
そしてモスクワのジャズ評論家ウホフ・ドミトリー氏の
悼辞。ニックという光が照らすもの。
ウホフさんの紹介を受けて登場したヴァイオリンの
タチアナは、禅の公案にヒントを得た曲を演奏。
一音ぎりぎりとした多数のノイズでかき鳴らし
問い掛ける鎮魂の曲。
ロシアの音楽家の演奏はかなりコンセプチュアルなものだった。
つづいてまったく対照的な小宮いちゆうユニット。
楽屋で話した小宮さんが、DOMの場所さえ知らないのには驚いた。
以前、ドミートリエフ夫妻が来日した折り、
宿泊場所を提供した縁とのこと。
そして、トリはIDU TUDAというアルバム にもなっている
巻上と宝示戸のデュオ。
ぼくはザーウミの語り部の気分
宝示戸くんは、ガムテープでピアノの内部を梱包してゆく
しまいにはぼくも梱包して演奏して欲しかったよ。
ねぇ、ニック、方向はどっち?

PS.
しかしBuddyはタバコ臭い。
タバコを吸う人たちはたいてい言い分けの天才になる。
吸うためには異常にアタマが回転する。
まったく頭脳資源の無駄遣いである。
大友良英のはてなで引用していた
高校の後輩 飴屋くんの文章にもそんなくだりがあった。
クルマもタバコ合法なのに
同じ凶器なのだからクルマにも
「車は人を死に至らしめる可能性があります」
と書いたらどうかとの言。
この文章の攻撃性が臭い。
もっと未来をみつめたらどうだろう。





Posted: 金 - 11月 18, 2005      


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