MMWカウントダウン


謎音、謎声、最高の年越し

年末に久しぶりに年越しイベントにでた。
何年ぶりだろうか。
2000年の年末に京都南座で茂山狂言との年越しをして以来である。

今年は、ニューヨークの人気ジャムバンド
メデスキー、マーティン、ウッド(MMW)とDJ Olive
そしてスティーブン・バーンステインのカウントダウンイベントに参加した。
みなニューヨークを拠点にする人気アーティストだ。
場所はディファ有明。普段はプロレスの開催が多いところだ。

有明には埋め立て地特有の寒い風が吹いていた。
人っ子一人いないコロシアムの横を歩いていると少し不安になった。

ぼくはマキガミサンタチで出演。
それもラウンジのちいさなステージでの演奏だ。
いつもならこんな過酷なものは、
すぐに断っているのだが、
やる気のある若手の企画なので、参加してみることにしたのだ。

というのも朋友のDJ Oliveも出ているし、
MedeskiともカナダでCobraをやってるし、
スティーブンは「殺しのブルース」に参加している。
こういう連中とはなかなか会うことができない。
幸い、フリーマンもサカイデも、破格の安いギャラなのにやってくれた。

リハを終えて、近くのホテルで食事。
ふたたびさみしげなコロシアムの横を通って帰ってくると
すでに開場していてたくさんの人でごった返していた。
オールスタンディングのオールナイト。
どこまでみんなついてきてくれるのだろうか。

MMWの演奏がはじまった
抑えに抑えたインプロからはじまって
カウントダウンと同時に
花吹雪、奥のカーテンが空くと
巨大蝋燭のインスタレーション。
そして強いビートがはじまった。
会場はおおいに沸いた。

一方マキガミサンタチの演奏の条件は悪かった。
タイムテーブルが、メインステージでのMMWの時間と重なっていた。
ラウンジに少しだけ休みに来た観客を相手にするほかはない。
しかもメインの音は、ドア越しに聴こえてくる。
繊細な表現はハナから不可能だった。

それでも不思議なもので、演奏をはじめると大きなちからが湧いてくる。
1時間の演奏を終えて、
ぼくらの前に出演していたSPECIAL OTHERSという若いバンドと話をした。

その後、ぼくだけ残って、
メインステージで行われる
ドラムのビリー・マーティンをリーダーにしたターンテーブルセッションに
参加することになった。

ビリーとははじめてだったので、
ほんとに入っていいものか不安だったが、
主催のオーガニックグルーブの連中は
すっかりぼくのことをわかっていて
オルガンの横にマイクを立ててくれていた。
演奏はとうにはじまっていたが
頃合いを見計らって
ステージに登場。カルグラを唸る。
千人もの若者たちには、へんなおっさんが
出てきたようにしか映らなかったかも知れない。
ビリーを見ると気に入ってくれたようで
ずっと残っていいよと言う。
調子にのって最後までうたった。
途中からメデスキーも加わり、
新年のはじまり、心地よいグルーブを満喫した。
終るとビリーが握手してきた。

へとへとになって
ベッドに入り、お昼まで寝た。
東京の新年は静かだ。
ひとりきりで新年の目覚めをするのも珍しい。

グレガー(DJ Olive)に電話して
人のまばらなスターバックスでコーヒーを飲んだ。

「マキガミに会えて最高のビックリだったよ」
「ぼくはきみが出るから来たんだよ」
「またニューヨークに来る?」
「3月かな」
「イクエと3人でやろうか」
「いいね」

2年前に、日本を「謎音百景」という名前でまわったトリオだ。

「日本にはいつまで?」
「飛行機がとれないから6日までいるんだ」

グレガーは渋谷駅の改札まで送ってくれた。
謎音の友といい年がはじまった。

Posted: 土 - 12月 31, 2005      


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